シロアリ 種類

カテゴリー/ 日本にいるシロアリ |投稿者/ ヨコハマ防蟻
公開日: 2015年06月21日 |最終更新日: 2023年11月05日

😳 ヤマトシロアリ 

ミゾガシラシロアリ科 Rhinotermitidae

 北海道名寄市を北限とし、日本全土に広く分布する。乾燥に弱く常に湿った木材中で生活し、蟻道を加工して地中やコンクリートの表面などを移動する。特別に加工した固定巣は作らない。被害部は多少腐朽しており不潔であるが、比較的乾燥した材ではイエシロアリと同じような被害になることもある。

 😳 イエシロアリ 

ミゾガシラシロアリ科 Rhinotermitidae

 世界のシロアリの内でも最も加害の激しい種類で,建造物や生立木に大害を与えている。建築物や切り株,樹幹などの地下部や地上部に特別に加工した塊状の巣をつくり,そこから蟻道を延ばして周辺の建築物や木材を加害する。水取り蟻道を通して水を運ぶ能力があり,乾燥した小屋組のような場所でも湿しながら加害するので,加害範囲は建物全体に及ぶ。漏水や結露など水場があれば,地下とは関係なく営巣でき,鉄筋コンクリート建物の地上部分でも被害が増えている。コロニーは100万匹を超えることがあり,巣から100mまで蟻道を延ばしたという記録がある。巣や食害部,蟻道などが壊されると,職蟻は退いて兵蟻が表面に集まり,一斉に攻撃姿勢をとり,危険を感じると額腺から乳白色の粘液を出す。有翅虫は黄褐色で,6~7月頃の蒸し暑い夕刻の薄暮期から暗くなった頃に群飛し,電灯によく集まるが,最近は5月中旬でも群飛が観察されるようになった。本州南岸,四国と九州の低地,琉球列島,伊豆大島以南の伊豆諸島,小笠原諸島,台湾,中国に分布し,野外での分布北限記録は沼津の千本松原であるが,冬季に気温の低下しない建物ではさらに北でも定着し,被害の北限は茨城県潮来で,川崎,横須賀,横浜,秦野,相模原,木更津,館山,鴨川などでも被害がでている。この種は荷物とともに運ばれて,太平洋の島々,ハワイ,アメリカ南部,アフリカなどにも広がっている。

 😳 アメリカカンザイシロアリ 

レイビシロアリ科

 アメリカのワシントン州からメキシコのカリフォルニア半島にかけての太平洋沿岸地域を原産地とする有名な乾材害虫で,日本へは家具や荷造材などとともに持ち込まれて屋内の乾材へ拡がり,家を建て直すほどの被害を与えている。被害はダイコクシロアリと同様で,加害部が巣となり特別の巣や蟻道を加工せず,乾材や野外の乾燥した枯枝の中に孔道を穿って小集団で生活している。被害材の表面には直径3~4mmの丸い虫孔があり,そこから乾燥した砂粒状の糞を排出する。1976年東京都江戸川区で発見されて以来分布は拡大し,現在宮城県仙台市から沖縄本島までの24都府県で記録されている。今後も各地へ侵入する可能性が高い。兵蟻はヤマトシロアリやイエシロアリよりもはるかに大きく,暗赤褐色で,頭部前方はほとんど黒色であり,脚の腿節が肥大すること,触角の第3節が他の節より長大で第4+5+6節と同じ長さであること,および前胸が頭部よりやや幅広いことで容易に区別できる。有翅虫は3~11月の日中に小規模で数回も群飛し,灯火には集まらない。体は濃赤褐色で頭部は赤褐色,翅は黒味を帯びている。

 😳 ダイコクシロアリ 

レイビシロアリ科

 世界の熱帯各地で最も恐れられている乾材害虫で,乾燥に極めて強く,ピアノや家具のような木製品から建造物,野外の枯枝などの中に住む。水分が直腸で再吸収されるために排泄する糞は乾燥した砂粒状となり,加害部の中や時には被害材の表面にあけた孔から外部へ落とすことがあるので,糞から本種を見分けることができる。兵蟻の頭部は堅固で前面が裁断状をしており,侵入する外敵に対しては強く骨化した前胸を支点として頭部で孔道を閉塞して防衛する。職蟻は擬職蟻で,少数の個体からコロニーが容易に再生されることから,荷物などとともに世界の熱帯地方に拡がり,日本では奄美大島以南と小笠原諸島に分布する。アメリカとアジアでの分布北限は,1月の平均気温が10℃の線と一致しているが,冬期に暖房する場所ではもっと北でも生息可能である。有翅虫は夜電灯に集まり,3~11月にかけて少数ずつ何回も群飛する。和名は,兵蟻の頭部が大黒頭巾に似ていることに由来する。(ダイコクシロアリ属Cryptotermes には,本種の外にも同様の被害を与える乾材害虫が熱帯地域から6種知られているので,沖縄や暖房する建物では侵入に対する注意が必要である)

😳 タイワンシロアリ 

シロアリ科 Termitidae

 沖縄本島以南に分布する。職蟻の頭部が赤褐色をしている点で,日本の他のシロアリから容易に区別できる。林内よりは畑地や荒地に多く,人家や倉庫などよりは木柱や柵などの野外建造物を加害し,またサトウキビやサツマイモなどの農作物をも加害する。蟻道はイエシロアリに似るが,その材料はほとんどが土壌だけでつくられており,加害部を幅広く覆うことが多い。伐跡地では枯葉や小枝を広く覆うことがある。地中に巨大な饅頭型の主巣を作り,その周囲には多いものでは数十個に及ぶ菌室を衛星的に配列する。菌室には,噛み砕いた木材と唾液でスポンジ状の培地をつくり,シロアリタケTermitomyces 属の2種を栽培する。梅雨の頃,この菌室から地上に茸が現れるが,沖縄では「ジーワイ(地割りの意)」と呼び,美味であるので好んで食用に供する。中国では北緯35 度付近まで分布し,黒翅土白蟻と呼ばれ,堤防中に営巣するのでしばしば決壊の原因となっている。海外では,台湾,中国,タイ,ビルマに分布する。日本最大の有翅虫は夕刻灯火に集まり,黒色で幅広い翅が特徴である。女王の腹部もソーセージ状に肥大して,5cm を超える体長になる。

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